第81章 山ガールに期待(2011.08.14)
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京都市の西北に位置する中川地区(京都市北区)は、川端康成の小説「古都」にも登場する昔から林業が盛んな地域で、北山杉ブランドの産地として全国的にも有名である。しかし、その林業は、安価な外国産木材の輸入増の影響やいわゆる3K(危険・汚い・きつい)職種でもあり、後継者難などで廃業を余儀なくされ、年間生産額はピーク時(1989年:約46億円)から激減し、今やわずか2億円程度までに衰退し、山の荒廃も目立つ。今まで産官学の取り組みなどの支援施策を実施しているが、林業の復興には結びついていない。


この状況を打開するため、京都の女子大生グループが林業に挑戦中である。今ほど環境に対する関心が高い時代はないが、このグループのミッションは、『暮らしの中で林業を応援し、百年先を考え、森を自分たちの手で守りたい』という点にある。その手段として林業ビジネスの復活、活性化があり、今までになかった女子目線の発想や女性の方が得意ともいえるソフトな感性で、女性パワーも必要ではないかとの想いで同グループを立ち上げ、林業体験イベント「森の女子会」の開催、林業フリーペーパー「林業女子」の配布、ブログによる情報発信、あるいは家具メーカーと共同で北山杉のPR活動などを実施している。


このグループの活動も含めソーシャル・ビジネスのミッションは、一般企業の利潤の最大化に向けた経済活動ではなく、社会的課題の解決を最優先とする。また、主に公的な助成金で運営するNPO(特定非営利団体)や、無償によるボランティア活動などとは、有料活動によって社会的課題の解決を目指す点で、その性格を異にする。そのため、提供する製品・サービスは、市場競争力が求められ、その事業活動において社会性とビジネス性のバランスが問題となる場合がある。しかし、ソーシャル・ビジネスは、あくまでもそのミッションの追求が第一義的であり、提供する商品・サービスは、ミッションの理念の下で展開され、これに反する事業活動はあり得ないと考える。その理由は、このビジネス・モデルの成立には、ミッションについてステークホルダーからの強い共感による支援が得られることが前提条件となる。従って、ミッションとその支援こそが当該モデルのコア・コンピタンスとなる。反面、この点でビジネスの柔軟性が損なわれ、機会損失のリスクは伴うが、一方、事業領域は明確であり、当該領域での専門性が発揮され易く、いわゆるニッチ市場などに特化した強みを発揮できると考える。

今回の彼女たちのミッションが、いわゆる「森ガール」・「山ガール」ブームの延長ではなく、山紫水明に富んだ歴史的景観を、次世代に継承するための揺るぎのない本質であると捉え、今後、女性の感性も加え、革新性のある社会的商品・サービスを開拓して、北山杉ブランドの復興に期待したい。

「女に山のことなんか分るはずがねぇ」
「何でそげなこというんやねぇ」
「そうじゃろが、山は神聖な処や、化粧はあかんやろ。山で化けるのは女狐で十分やぁ」
「女狐に騙される男も男じゃねぇか」
「おら騙されるのもまんざらではねぇよ。かかぁに騙されてもらってやったもんよ」
「そういえば、お前のかかぁ山で出遭ったんやなぁ。今で云う山ガールだ」
「今じゃ、尻はでかいが尻尾はまだない」

京都山小屋の住人