第25章 藁(茅)葺きの家は日本人の知恵(2005.1.10)
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農村には藁葺きの民家がよく似合う。田園や棚田の風景が広がる中に点在する藁葺きの家。このような桃源郷に近い風景は、心の中で描くしかないかもしれない。藁葺きの屋根の家は、夏涼しく、冬は暖かい。雨の音も藁が吸収してくれて、とても静かである。

昭和の中頃(なんかかなり昔の響きがありますね)までは、囲炉裏で暖をとっていたが、この囲炉裏が石油ストーブなどに替わっていくにつれ、藁葺き屋根の家もめっきり減少してしまった。その理由は耐久性の問題もある。囲炉裏の煙が藁葺き屋根を燻していた頃は、かなりの耐久性があったが、燻されなくなった屋根は傷みが激しく、その分、費用もかさみます。また、藁葺き職人の数も数える程度しかいません。京都府では茅葺の里の美山町や久田に数人いる程度と聞いています。こんな理由から、茅葺の家の屋根はトタンで覆われ、藁葺き本来の機能が損なわれている。なんかとても残念な気がしますが、そんな流暢なことを言うこともできない時代かもしれません。藁葺きの屋根の下で生活できるのは、最高の贅沢な時代になってしまったのかましれません。

茅葺きの家の材料になる「茅」とは「すすき」(「芒」とも書く)。別名「尾花(おばな)」(花穂が獣の尾に似ているため)、「茅(かや)」。京都市内の一番北に位置する京都市左京区広河原にも「尾花町」というところがある。冬は豪雪地帯になるこの辺りには、まだ藁葺きの家が点在している。

「あの藁葺きの家、もうすぐ屋根が崩れそうだね」

「雨漏りもかなり、激しくなったみたいやな」

「でも、もったいない。なおせば、まだまだ住めるよね」

「問題はなおして、どう利用すかだね」

「数年前まで、どこかの社長さんが借りていたそうだよ」

「別荘でか」

「週末に家族で利用して見たいや、家賃月5万円とか」

「しがねぇサラリーマン生活では無理やね」

「それは言える。ここで生活できれば話は別だけどね」

「どうにかならんかな」

「どうにかすることやな、ここで何をしたいか、真剣に考えよっか」

「いいすね。田舎起業家に向けた活動やなぁ」

「田舎起業家か。いよいよ、君の本領発揮やなぁ」

雪で覆われた藁葺きの家の下、家族が寄り添い生活していたあの頃の幸せの大きさが懐かしく、羨ましく感じるのは贅沢だろうか。田舎で質素ながら生活していた日本人。その生活の中で築き上げた日本人の知恵。藁葺きの家。この伝統を守る生活の実現に向けた知恵を出して行きたいと思う、今日この頃です。山小屋のある渓流沿いにも、藁葺き屋根の材料となる「すすき」が、雪の下で新たな春の息吹に向け、肥料となる。


「狐火の 燃つくばかり枯尾花」

「山は暮れて 野は黄昏の芒かな」

与謝蕪村

京都山小屋の住人

(次回に続く)