第83章 星屑のステージで乾杯(2011.9.21)
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星は すばる。ひこぼし。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて(清少納言「枕草子」の一節)

天体愛好家には最も有名な一節かもしれない。「ひこぼし(彦星)」は、わし座α星アルタイル。「すばる」は、おうし座のプレアデス星団の和名。「ゆふづつ」は宵の明星、金星。「よばひ星」は一般には流星のこと。流星には尾がつきもの。「尾を引いて人の目にとまることがなければいいのに」という、当時の女性の感性の表れだろうか。当時の新月の夜は、現代より暗く、まさに鼻をつままれても分らない漆黒の世界、手提灯がさぞかし光輝き、まるで蛍火のようにお忍びの夜這いもさぞ目だってしまうことだろう。桑中之歓もままならずといったところだろう。

流れ星は地球の公転軌道上に散在している微小な宇宙塵が、地球の大気圏に突入し、燃えつくことで光輝く現象。一年中、昼夜を問わず、発生しており、晴れた漆黒な空がある山小屋でも、よく見ることができる。先日もテレビでスペースシャトルに搭載したハイビジョンカメラにより、宇宙から「地球の渚」と称し生中継された。流星のもとになる流星物質は、 絶えず地球に降り注いでおり、いわば宇宙は、地球で生命が誕生した原因となった母なる海、地球はその海の波が漂う渚ということだ。この渚では、雷さまの電気のパワーが宇宙塵の例えばアミノ酸に何らかの作用を及ぼし、生命体を誕生させたシナリオが考えられる。今から40億年前、地球は原始の海で覆われていた。生命の源になった元素は太陽系のどんな惑星にも存在する。雷・宇宙線・紫外線・マグマの火山活動からの刺激を受け、最初の生命「アミノ酸」が海に現われた。そしてちょっとした偶然が重なり、リボ核酸が生成され、自らの情報を複製する能力とアミノ酸から蛋白質をつくる能力を獲得。その後、光合成をするバクテリアが大量発生、海を埋め尽くす。バクテリアから排出される酸素は海水や大気にとけ込み、やがてオゾン層が形成され、青い地球が誕生。オゾンのバリアのお蔭で、有害な宇宙線から生命体が守られ生物が誕生するシナリオだろう。この時代から神秘的なオーロラも現れていたことだろう。

このシナリオを実証するには、この先、どのぐらいの時間が必要なのかはわからない。だからこそ、神の存在や夢や想像力が増すことになる。今も、昔も、宇宙に馳せる夢は変わらない。

こう考えると地球上に誕生した多くの生命の起源は多分同じだろう。進化の過程で様々な競争原理が働き、子孫繁栄のための淘汰が始まり、その後、英知を有する人類がこの惑星を支配することになった。しかし、人類同士の競争原理は残忍だ。過去の子孫繁栄による淘汰は生きるため、生かされるための淘汰であり、人類が求める支配とは、本質的に違う。果たして、人類はこの先、この小さな惑星で仮に生き続けるとしたら、どんな価値観の共有が求められるのだろうか。そんなことを考えながら、今秋から冬にかけ天空の銀河の宇宙を眺めることだろう。

「天空の銀河を見ていると、すべてを超越できるような気持ちになる」

「難しいことを言うね」

「そうだね。宇宙にも山河ありってことさ」

「ますます、分らなくなってきた」

「そうか。じゃ愛する山河は美しいっ。これでどう」

「山河に幸ありってこと」

「少しは分ってきたね。それじゃ、今夜の星屑に乾杯しようかっ」

「一番、わかりやす。天空に乾杯っ」

星屑のステージの下、テラスに横渡り、天空を眺めながら宇宙の生命体とテレパシーで会話する。いとをかしです。

京都山小屋の住人

(次回に続く)