第72章 山での畑づくり(2009.8.23)
----------------------------------------------------------

山は手を入れるほど、その答えを出してくれる。自然を相手にする農業、その農業で人が唯一管理できるものが多分、土ということなんだろう。お天道様や水はなかなか管理できない。もちろん、水道の蛇口をひねって、ホースで水でもやれば可能だろうが、それは多分、農業とは呼べないだろう。食物プラントの中で人口太陽、水管理システムなどがあれば、話は別になるが、基本は土ということになる。そこで、良い土について考えてみた。最近、化学肥料や農薬に頼らない有機農業を売りにする生産者も増えてきた。牛や鶏などの生き物たちが排出する糞や米の糠や稲藁、雑草などの植物を使ったものが基本に土作りを行っているものだ。土の中に棲む多くの種類のバクテリアが、有機物の富んだ土を作り、それが作物の育成につながる。つまり、良い土作りとは目に見えないバクテリアがバランス良く棲むことができる世界を作ることが答えかもしれない。バクテリアが好む食べ物、水、温度の3点セットだが、特に、食べ物となる残飯や排泄物を継続的に供給できるシステムを構築することがポイントだろう。

さて、そこで実践となるが、果たしてバクテリアの餌となる生ゴミを継続的に供給できるだろうか。飽食の時代、食いしん坊の我が家でも餌は毎晩、それこそ豊富に出てくるが、真夏にベランダのゴミ箱に半日でも置いておくと、腐敗臭が漂う。庭に穴を掘って埋めることもできるが、都会に棲む猫どもが夜な夜な出没しては、いろいろと悪さをする。生ゴミ製造機なるマシンもあるが、そこまでしてという思いもあり、どうもなじまない。コンポストもいいが、小蝿やゴキブリなどが湧くし、また、庭のスペースや美観にも課題がある。さて、どうしたものか。そこで考えた方法が生ゴミの冷凍化だ。幸い我が家では、外国暮らしの経験もあり、以前から冷凍専用の冷蔵庫がある。その中でカチンコチンに凍らせた生ゴミを山に運んでは、堆肥づくりを行っている。材料は、冷凍生ゴミに加え、現地に生えているススキや広葉樹の落ち葉が材料となる。たまにこれらの草木を燃やしては、その灰をゴミにも混ぜたりする。それに始めはあるものを加えることも忘れなかった。あるものとは、都会の庭に棲むミミズたちだ。ミミズは土を食べ、そこに含まれる有機物や微生物を消化吸収した上で糞として排泄する。農業では益虫の代表選手だ。さて、土作りの循環システムは構築できたが、果たして成果となるか、それはお楽しみだ。

「この土、やっとホクホクしてきた感じだね」
「ミミズの数も増えているようだね」
「ちょっと早いけど少しご馳走するよ」
「もう何か収穫できたの」
「この辺りが丁度ホクホクしているかなぁ」
「そんなの食べられるの」
「まだ、ちょっと、じゃりじゃりするけど、ミネラル豊富だよ」
「あっ、本当に食べた・・・土饅頭」
 (※良い子は絶対に真似をしないでください)

ということで、山の斜面に鍬を入れ、開墾した土地にまずは早生玉ねぎを植えることにした。例年、12月のクリスマスの頃には初雪があり、大晦日までには根雪となるため、その前に収穫できるかどうか。短い日差しの恵みを十分に受けさせるため、ここ2〜3年で急成長したミズキをチェーンソーで数本切り倒した。切り倒したミズキはこの冬の薪とする。玉ねぎは食べないだろうが鹿網も忘れないように張った。なお、生ゴミの処理の他に、もう一つ貴重な資源は、直接、地球に穴を掘って、済ませることになりそうだ。誰にも見られることもないし、たぶん見たくもないだろうが、やはりこれが極めて自然なやり方だろう。ついこの間まで厠がなかったことを思い出す。

京都山小屋の住人

(次回に続く)