第2章 森を入手(2004.2.2)
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土地は広い方がいい。何故?って、周りが広大なため、都会の感覚では小さくて使い勝ってが悪い。特に平坦な土地が少ない山では。しかし、当然、購入ということであれば、お金との相談ということになる。昨年の春から夏にかけ、候補地周辺の廃屋を渓流釣りがてら、物色していました。これといって心当たりがあるわけではありません。
そんな中、1軒の藁葺き農家を発見。約300坪程度の土地に、平屋の大きな土間のある家。ご近所に尋ねようとしたが、そんなご近所が見当たらない。500メートル先のご近所?に、尋ねて見たが、一向に要領を得ない。そんな中、お昼に立ち寄った喫茶店のマスターから、その農家のことを聞くことができた。その農家のオーナーは、京都市内で料亭を営んでいるとのこと。以前、賃貸で貸していたときもあったという。でも、このご主人、昔、山仕事の事故で亡くなられ、その後、家系が絶えてしまった縁起の良くない家と言われているそうな。
そんな類のお話は気にもせず、早速、市内の料亭に知人を連れて食事がてら赴いた。個人が利用するような料亭ではなく、もっぱら会社のお金で飲み食いする接待族が利用する超高級料亭である。もっぱら先生、先生と呼ばれる声が耳に入ってくる。実は学生の頃、この料亭の系列のお店で夏の間、皿洗いのアルバイトをした経験があった。これも何かの縁と強引に結びつけて、お一人様25,000円のお料理を注文することとなった。お食事を堪能し、デザートが出てきて、女将さんらしき上品な女性が、挨拶に座敷に入ってきた。この機会を逃しては、何のために大金を使ったのか分からなくなるので、それでもやや遠う回しに尋ねてみた。

「そういえば、女将さん、京の奥座敷に別荘もってはるよね」
「よう、ご存知どすな」
「えぇ、風の便りです」


結論から言うと、「賃貸で月5万円(敷金・頭金なし)」、「売買? うーん」、何か躊躇している感じ。結果はかなり吹っかけられた金額を提示された気がした。その後、調べて見ると、根抵当が付いていた。あんな田舎の土地でも銀行は貸すのかなと少し驚いた次第である。結果として売るに売れない物件のようだった。田舎の物件は、通常の流通市場に乗らないのが、ごく普通。やはり、正式に土地を買うとかになれば、不動産屋にでも相談するしかないのか。でも、賃貸で借りて、飽きたら手放すのもいいかなとは思うが、藁葺き屋根の修繕にかなりの費用がかかるし、それを考えると借りるのは損かなということになりました。そうこうしているうちに、地元の知り合いの紹介で、とある地元の不動産屋が山を自己所有しているので、一度、相談してみたらと教えてくれた。早速、8月のある週末、連絡を取り、現地で待ち合わせをした。北山台杉が植林された山。「全部で1000坪弱、3本でどう」という話であった。バブル当時、大手デベロッパにより開発されたリゾート用地で、その所有者が倒産したことで競売物件を落としたものということだった。登記簿の写しも渡されたが、そこにはなんと何十億円もの根抵当権が付いていた。いくら小泉さんが変革、変革と高らかに叫んでも、これでは、日本経済、どう帳尻合わせても、合うはずがない、あと100年はかかると思った。やはり、ここは小沢の一ちゃん登場を願わん。バブル当時、看板だけで銀行もお金を貸し、転がした結果、最後にはババクジを引いて市場淘汰。なんとの情けない有様。ただ、この一帯は、バブル崩壊後、手付かずのため、それなりの自然が残っていたことが、せめてもの救いでしょうか。開発時に、破壊された広葉樹の森も形成しつつあり、鹿や小動物の糞や足跡が渓流沿いに見つけることもできました。熊や猪はどうかな。やっぱり、居るでしょうね。


「渓流の水もそのまま飲めるし、この景色とパノラマ、どう、いいでしょう。車の騒音も聞こえないしね」
「うーん、いいところですね。ところで、当然、この根抵当権は抹消されていますよね」
「最新の謄本を取り寄せますので、ご安心ください」
「少し、考えさせてください」
―やや間があって―
「折角、ここまで来て見てもらったし、知り合いの紹介だし、どう、もう1本でもいいですよ」
「えっ」(ピン・・・何かある!)
「実は、この土地、一度、売買して、お客様の都合で、また、安く買い取った土地なのよ。先生で2度目の売買になるので、原価でいいですよ」
(先生?業界用語かとと思いつつも)
「バブル亡霊の類はでないですよね」(笑)「はい、契約します」ごくあっさり、即決した。

追伸:山小屋を建ててから、不動産屋さんがよくこの周辺の土地を見に来る。山小屋も出来たことだし、売れ残った土地を売買しようとしているんだろうが、どう冷静に見ても、資産価値はないだろう。冬の豪雪、豪雨による山道の荒れ、土石流の危険などなど・・・。ここが好きか、嫌いか、それだけの価値である。

京都山小屋の住人

(次回に続く)