第40章 そばの花(2005.11.3)  
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そば畑一面に咲く小さな白い花。可憐であり、かつ芯の強い花だ。「そばは75日」と言われるように、夏の播種から秋の収穫までの期間が短い。ある程度、標高があり、昼と夜と温度差が大きくなるこの時期にそばが実る。今回、体験したそば畑も、そんな自然環境の中にある山間の村。山小屋のある村の隣村です。このような村は、日本には多く点在し、そのため全国に「そば街道」やら、「そば村」なる村おこしも登場している。

手間もかからない栽培はできるが、農工機械も入らない山間のそば畑では、収穫は手作業になる。そば畑は播種の後、手間をかけない分、自然任せのため、雑草もはえてきて、収穫時にはかなり苦労することになる。また、収穫期には台風などの風により、倒れてしまい、余計に収穫に苦労する。そんな面倒なそば畑でも収穫は楽しい。そばの茎を何本か束ねては、そばの実を指でしごいては、ビニール袋の中に収穫する。3ミリ程度の小粒なそばの実、気の遠くなる様な楽しい手作業だ。

収穫したそばの実は、乾燥させた後、脱穀。そして冬の雪深い山奥にある渓流にそばの実を1週間浸す(寒ざらし)。こうすることで、甘味が増すとのこと。その後、天日に干す。 翌春、石臼挽き、そば粉が出来上がる。かなり手間のかかる作業だ。その後は、最近、人気のある蕎麦打ちから、茹で上げ、そしてずるっと食べるまで、本当に多くの手間と楽しみがある。

日本のそばの花は白色だが、原産地のヒマラヤの裾野では、ピンクや赤色の品種がある。このそばは、花を楽しむばかりではなく、味も良いので、まさに見て楽しみ味わうといったところだろう。今回訪れ里山でも、赤いそばの花が満開になる畑もある。こちらのそばは、里の美しい風景を守るために栽培した観賞用のものだ。また、近くには高級蕎麦店もオープンしている。手間を考えると値段がはるのは、多少とも理解できないでもないが、「たかが蕎麦、されど蕎麦」と思いつつ、箸をつけるとあっという間に喉元を通過してしまっている。やっぱ、値頃感からして高すぎかなぁ。

「さぁ、ゆで上がったよぉ」

「この蕎麦は・・・で、・・・の時に・・・・と・・・、そんで、エーと・・・」

「薀蓄はいいから、蕎麦はスピードが命だよ、早よ、食え」

「ズル、ズル、スゥ−ツ、ご馳走様」

「えっ、もう、喰ったんか、もっと味わってよ」

「早ょ喰えというから、噛まずに飲み込んだんよ」

「お前にはもう打たん・・・スーパーの蕎麦でもゆでて喰え」

京都山小屋の住人

(次回に続く)