第26章 厳冬の中でしっぽりと料亭(2005.1.30)  
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京都市内で有名な料亭といえば、夏の猛暑を忘れることができる貴船がある。格式高い料亭と庶民的な料亭まで、ピンからキリまである。確かに、市内のうだる暑さの中、この辺りの気温は、市内に比べて5℃は低くなる。夏の朝方は肌寒さすら感じさせてくれる。でも、夏や紅葉シーズン中は、山盛りの観光客の群れや料亭のおばちゃんたちの呼込みなど、ちょっと風情がないなぁ。学生時代、夏休みを利用して、貴船のとある高級料亭で住込みでアルバイトをしていた。当時で昼の料金が1万円前後、夜はお泊り2食付きで5万円ぐらいだったと記憶する。ドイツ人など外国の方も、よく利用していたようだが、値段の高さに驚いていたことを覚えている。確かに、個人の懐から出すのは、少々、抵抗がある金額だ。当時、利用者の大半は、いわゆる接待族であった様な気がする。

貴船は市内からも交通の足がいいため、多くの観光客が訪づれるのは仕方ないが、山小屋の近くにも、貴船に負けじと劣らない料亭が点在している。日本料理からフランス料理まで楽しむことができる。中には京の奥座敷にふさわしい格式を備えた屈指のお茶屋もある。バブル当時、チャラチャラしたお姉さまと強面のおじさまが高級乗用車に相乗り、離合するのがやっとの山道ですれ違うこともよく見かけた。バブル崩壊の後は、この手の輩は見かけなくなった。最近の常連さんは、セレブな主婦のグループが多い。黒塗りのハイヤーやジャンボタクシーに乗り、雪道をかき分け、足を運んでいる。こんな山里の中でも、世間の潮流を窺い知れるのが面白い。

四季を通じて、山小屋周辺の季節は好きですが、中でも雪に覆われている今が、一番だ。すっぽりと雪の覆われた料亭で、フルーティな大吟醸酒の冷酒のグラスを傾けながら、炬燵の中でボタン鍋やキジ鍋を囲むのもいい。あるいは、小生のログハウスが犬小屋に見える瀟洒なログハウスの中で、暖炉の火を囲み、地の白ワインと共に鹿肉の山小屋風ソテーに舌鼓を打つのもお洒落だ。たまには、家族サービスも忘れてはいけないと、ふと思うひととき。

でも、そんな贅沢なひと時以上に、山小屋でのすき焼きが最高。雪で覆われた風景を見ながら、山作業で疲れた体を五右衛門風呂でほぐした後、玉ねぎと牛肉だけのシンプルなすき焼きだが、体の芯から温まるお奨めの一品だ。

それにしても、今年は雪が多い。

節分を前に、大寒気団が山小屋へも押し寄せようとしている。

京都山小屋の住人

(次回に続く)