第43章 京の魔界・幽霊も棲む山(2006.3.5)
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春先に幽霊の話題は似会わないかもしれないが、お許しあれ。

京都と云うと、とても古い土地柄、お化けや幽霊のお話の類は本当にたくさんある。特に、平安京の時には、安倍晴明などの陰陽師が活躍しなければならない程、京都は魔界の世界だった。京都は風水学的に見ても、「四神相応」の土地として理想的な地理的条件を備えていた。それを時の権力者は、逆に自らの求心力を維持するために、上手く利用していたことも史実などを通して理解できる。現代でも、何気ない普段の散歩などを通じて、当時の面影を想像できるところが、京都の最大の魅力かもしれない。

例えば、御所「猿が辻」、田村麻呂の「将軍塚」、空海「神泉苑」、小野篁「西ノ京冷泉町」、閻魔様「悪魔前町」、紫式部&小野篁「北大路堀川下る」、松原中之町「夕顔・朝顔の巻」、深草、静市「小野小町」、十二坊町上品蓮台寺(じょうぼんれんだいじ)「土蜘蛛塚」、丑の刻参り「貴船」、鞍馬小「鬼一法眼」・・・

そんな当時の京都にタイムスリップするには、皆さんが寝静まる『うしみつとき』に京都の街を一望できる場所から眺めながら、瞑想することがお奨め。満天の星空の下、眼下にはそれこそ真っ暗な平安京の街の中、堤燈と牛車の列の後ろから、ノシノシと闊歩する魑魅魍魎の輩が見えてくる。どうやら、夢枕獏の世界に入ってしまったようだ。

三方を山で囲まれた京都には、数多くの夜景スポットがある。お奨めは「船岡山山頂」(徒歩のみ)、「比叡山」、「京見峠」、「東山霊山町(りょうぜんちょう)」(徒歩可)、「将軍塚」など。でも、夏の夜は一人で行かれると覗き見や痴漢に怪しまれるかもしれないので、くれぐれもご用心あれ。

「昔、京の街を闊歩していた幽霊たち、今はどこに行ったのかなぁ」
「いい質問やね。かれらは今も成仏できずに、まだ彷徨っているんよ」
「本当?」
「でも、街は棲みずらいようで、一年に一回しか出て来ないらしいよ」
「それはいつなの?」
「大文字の火送りの時だよ。北山の奥の里山から出てくるんよ」
「そうなんだぁ。そうすると普段は、エッ、ここいらに棲んでるわけ・・・」
「ご正解!、連れしょん行ってやろうか?」

昔から神も仏も、そしてお化けも共存できる世界が日本人の共通の意識の中にあった。昨今の世相はどうも違う方向へと進んできたようで、とても残念。そろそろ、昔戻りの時が来たようだ。

京都山小屋の住人

(次回に続く)