第65章 囲炉裏は最高のおもてなし(2008.12.21)  
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日本の農家には、どこにでもあった囲炉裏。座敷畳の真ん中にどてんと構えてあった囲炉裏。そこでホダをくべ、火を入れ、家族で茶でもすすりながら、黙々と火を眺めていた時代。家族の温もりがあった囲炉裏だが、そんな風景を懐かしむ人も少なくなった。現代であれば、瀟洒なロッジにある暖炉の和風版といったところだろう。寒い地方では10月の秋には、囲炉裏に火を入れて翌4月頃まで、過ごしたものだが、煙たいやら、寒いやら、ホダの調達が面倒等々で、ほとんど姿を消してしまった。田舎がなかった人でも、昭和58年(1983年)のロン・ヤ日米首脳会談で藁葺きの家(日の出山荘)で囲炉裏を囲んで、ちゃんちゃんこを羽織って、もてなした姿ならご存知かもしれない。それにしても中曽根さんは、よくぞこんな山中の粗末な農家へレーガン夫婦を招いたものだと、感心するとともに、おもてなしとは、こういう素朴なものかもしれないと思った。

山小屋のスペースでは、囲炉裏を作るには狭すぎるため、今まで実現しなかった。自在鉤は、以前にお寺の境内で開かれた骨董市で調達しておいた。そんなこともあり、外に東屋を立て、そこに念願であった囲炉裏場を作った。厳密には畳や板の間ではないので、囲炉裏ではないが、かといってお洒落な暖炉でもない。言葉としては、焚き火場が的を得ている。ともあれ、これで一箇所の場所で火を入れ、ボーっと眺める場所ができたことは、焚き火を趣味にする者にとっては嬉しい限りだ。また、そこで皆でバーベキューもできる。秋のベストシーズンに向け、漆には注意しながら、ホダ木集めに汗をかくことになりそうだ。その前にまずは雪の中の焚き火を楽しもう。最高の至福の時だろう。

「雪の中は不思議と寒くないね」
「火があるからじゃないかなぁ」
「それにしても静寂そのものだ」
「真冬の渓流は水音も穏やかだ」
「火で弾ける枝の音だけが響いているよ」
「そろそろワンカップ、ちょうど良い感じだ」
「最高に旨いよ!」
「雪が本格的に舞って来た」
「明日のパウダースノーが楽しみだ」

今日から新聞にスキー場の積雪情報が掲載されはじめた。今冬の白銀の世界はいつ訪づれるのだろう。明日は冬至、最も昼が長く、夜が長い一日、まずは柚子風呂に入りながら、今年の反省と来年の計画でも練ることにしよう。

京都山小屋の住人

(次回に続く)