第8章 蛍火の感動(2004.5.2)
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山小屋の近くの渓流にも、蛍が沢山乱舞する。やはり綺麗な小川があるためだろう。6月中から7月中頃の陽が西に沈み辺りが暗闇に包まれた9時頃が活躍の場となる。月明かりのない新月の夜は、特に美しい。最近、この蛍を目当てに、車で見学に訪づれる人もいるが、誰にも教えたくない場所として、これからも、そっとしておきたい秘密の宝物だ。

それにしても、蛍の光を見ると何ともいえなくセンチメンタルな感傷を覚える。春の桜の花が散る時の様な気持ちだ。でも実際は、とてもワイルドな行為。子孫を累々に伝えるための生きるものの本能だ。光を発しているのはメス、オスの関係は無い。蛍のメスは葉っぱの上で発光することでオスを誘い、蛍のオスはお尻を点滅させながらメスの光を探し飛び回わる。無事、結ばれた蛍のつがいは、その後、卵を産む。蛍は幼虫の間、1〜3年で成虫となり、その後、成虫期間はわずか10日程度という。幼虫から成虫までピュアな水がないと生きていけないとても繊細な生き物。環境に敏感な生き物の代表格だろう。

黄緑色のよう淡い美しい光を放ち、一生懸命に乱舞する姿を見ると、どうしても感傷的な気持ちになる。浴衣姿の女性と連れ添っての蛍火の観賞もロマンスだろう。

「あっ、蛍。きれいやなぁ。これって乱舞」
「うん、そうだね。ほら自分の浴衣の袖でも光っているよ」
「ほんま、キレイ。でも、なんだか、せつない気持ちになりはるわぁ」
「この蛍火、きっと、明日から幸せを呼ぶよ」
「うん。自分もそう信じたい。おおきにありがとう」

今年は山小屋の中に蛍が遊びに来るような気がする。窓を開放し文明開化の灯火やランプの火を消して、そっと待つことにしよう。

京都山小屋の住人

(次回に続く)