第70章 地ビアーには地のものがドブレДобре(2009.7.31)
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外人曰く、「日本には“とりあえずビール”というビールがある」らしい。四季を問わず、まずはビールだが、夏はそれこそビールだろう。ビヤガーデンの季節が到来だ。京都にもホテルの屋上などにビヤガーデンがある。また、昔の花街には、屋上ではないお庭で舞妓さんや芸妓さんがお酌してくれる粋なビヤガーデンもある。また、ビールのつまみには、枝豆や冷やっこ、そしてソーセージだろう。20代の頃よくほうばったソーセージ。(お金も言葉もろくに話せなかったので)1mark20pfennigとお手頃感もあり、昼は毎日というほど、利用したKoln駅前にある立ち食いスタンド・インビス(Imbiss)。また、当時、チップが要らなかったのが、余計な気を使わなくて済むのも便利だった。インビスの定番、白い丸いパン(Broetchen)に焼きソーセージ(Bratwurst)。今でもドイツではマクドよりも最もポピュラーな軽食と云う。また、東欧ブルガリアでは、名物の「カルナチェ」と「キセロ・ゼレ」(ザウワークラフト)。カルナチェは、ボリューム感もあるトグロ巻きソーセージで、それに串を刺し、炭火でジュージューと焼き立てを頬張る。名物ながら、食べ応えもあり文句なくおいしい。そこで飲むのは、ハイネケン(Heineken)のような国際ブランド・ビアーではなく、やはりずっしりとした地ビアーだ。

ところで、今はまっているのが、山小屋の道中にある歴史がある酒蔵の地ビアーだ。酒造りに使う仕込み水は、山々の伏流水という。この酒蔵も、規制緩和を受け、地ビアーの製造を始め、食事内容に合わせて、ドイツ系2種と英国系1種の計3類を商品化している。ソーセージには、やはりドイツ系がマッチするし、鮎の塩焼きには、仄かなフルーティな香りがいいだろう。女性にも人気という。レストランもあるが、車で寄るわけにも行かず、店頭のメニュを見ては、牛のよだれとなる。

「そろそろ、炭がおきてきたよ」

「それじゃ、鮎をしめようか」

「スイカの香りがするね」

ビクの中に、塩をぶち込み、塩水で活き締めにしてから、串に通す。

「(ジュウ、ジュウ)油が落ちてきたね」

「そろそろ、いいだろう」

「それじゃ、何に乾杯する?」

「そうだなぁ、何でもいいよ」

「それじゃ、ともあれ合掌、そして・・・」

「ナズドラーヴェ(Наздраве)とドボル・アペティ-ト(ДОБЪр апеТиТ)!」

ドブレДобре」

ムノゴ フクースノ(Много вкусно)」

「次は鹿ソーセージ、それとも熊肉を焼こうか」

山小屋でも、必ずや食べ物の話題がでるが、たまに「小鹿のモモ肉のトマト煮・地中海風香味焼きソテー」「タラバガニのムニエル風味枝豆入りの冷ゼリー」etcというとんでもない話が出る。アウトドアーでは、山小屋風に勝るものはなし。肉は網焼きに塩、蟹は焼き蟹、枝豆は塩茹が一番、トマトも包丁一本で十分だ。これが山小屋風だ。自然のテーブルの上には、自然食材が一番のご馳走となる。調味料は塩と酒。当然、高級ワインや三星レストランの薀蓄(うんちく)などは、似合わないし、そもそも食事やお酒がおいしい理由は、ブランドではなく、その場の雰囲気などが大きく左右する。薀蓄など興ざめに過ぎないのが分からない輩も多く残念だ。ちなみに、鹿ソーセージは、美山で鹿の解体・加工工場もでき、販売になった。山ほどいる鹿たち、新鮮な食材を上手にしめさえすれば、シンプルなほど、文句なく旨い。最後に、冒頭の「“とりあえずビール”」は、既に商標登録済みと聞いている。一度、飲んでみたいものだ。但し、瓶ビールだ。

京都山小屋の住人

(次回に続く)